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南天はリスクマネジメントを表す

 

 本サイトのシンボルとして南天を使用しています。

 南天は、メギ科ナンテン属の常緑低木で、日本や中国などでよく栽培されています。

  ナンテンが「難転」すなわち「難を転じて福となす」に通じることから、縁起木として愛されてきました。戦国時代には、武士の鎧びつ[鎧を入れておくふた付きの箱に南天の葉を収め、出陣の折りには枝を床にさし、勝利を祈りました。正月の掛け軸には水仙と南天を描いた「天仙図」が縁起物として好まれたようです。江戸の百科事典『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』には、「南天を庭に植えれば火災を避けられる。とても効き目がある(現代語訳)」という記述があります。江戸時代にはどこの家にも南天が「火災よけ」として植えられるようになり、さらには「悪魔よけ」として玄関前にも植えられるようになりました。

  昔の家のお手洗い(厠)は家の外にあるのが普通で、そのお手洗いの周りには必ずといっていいほど南天の木が植えられていました。これは「南天手水(ちょうず)」と称して、お手洗いに水がないとき、南天の葉で手を清めるためです。もう一つの理由は、お年寄りがお手洗いで転んだり、倒れたりすることが多かったため、「南天の木につかまる」(難を転ずる)ことが目的でした。つまり、「不浄よけ」と「生活の知恵」の両方が備わっていたのです。ちなみに現代では、南天の茎や枝には抗菌力のある「ベルベリン」(アルカロイドの一種)が含まれていることが医学的に証明されています。

(出典:南天研究所 nanten-lab.jp/knowledge/index.htm

 また、南天の木には邪気を払う力があるとされ、鬼門対策として家の北東側に植える伝統も根付いています。鬼門とは、北東の方角を指すもので、鬼が出入りする場所であるとされています。この思想は陰陽道の考えであり、一般にも広く普及しました。北東側が植物の生育に悪いことから、反対側の裏鬼門である南西側に植えることも可とされています。

  

 リスクマネジメントは、リスク(難)を回避、抑制、管理することを目的としており、正しく木で表すなら南天であると言えます。

2018/3/9 高市幸男

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