意見・異見

「危ない会社」ってどんな会社?

 

 俗にいうところの「危ない会社」とはどんな会社であろうか? 一般的に知られているのは、販売先や貸付先で業績や経営内容が悪化し、信用リスクが高まっている企業を指す。。

しかし、企業の取引先は販売先・貸付先だけでなく仕入先、外注先、借入先、事業サービス会社、など様々であり、それぞれの取引先が、それぞれのリスクを抱えている。

リスクマネジメントはリスク毎に評価・対応することを基本にするが、これら多種多様なリスクをそれぞれ単独で評価・対応する必要はない。なぜなら、リスクを起こす会社には共通した特徴があり、その会社が発する情報からその特徴をとらえれば、リスクの発生を把握・評価できるからである。あらためて企業にリスクをもたらす危ない会社の特徴を分類すると次のようになる。

 筆者は高リスク会社:ハイリスクカンパニー(high risk companyHRCと名付けた。

 

①不良・低レベル会社

 元来経営のレベルが低く、経営姿勢が不真面目。満足のできる商品やサービスの提供ができない。納品遅れや誤納品、書類のミスが多く、経理面もルーズで約定通りの決済をしないなど、社内管理がルーズ、担当の不在やたらいまわし、質問してもなしのつぶての会社をいう。

②ジコチュウ会社

 金銭感覚が利己的でわざと支払いを遅くしたり、請求書が届いてないなどの嘘を平気でつく。自社の都合のみでかってに商品・サービスの仕様や価格を変更する。担当者の交代が煩雑で信頼関係を構築することができないばかりか、スムーズな取引もできない。社内のルール、社内事情が最優先でまったく融通が利かない。商品・サービスの難癖や、過剰サービスの要求、過大な値引きの要請は当たり前、クレームをつけると逆に凄まれる会社をいう。

③低・反モラル会社

 法令や契約・権利についての意識が乏しく、またはなく、違反してもその対応をしない、または対応が不十分な会社をいう。法令違反自体での損害や対応のまずさによる二次被害もあるが、コンプライアンスが注目される昨今、コンプライアンス違反発覚の際には大きな打撃を受け、経営そのものを揺るがす事件に発展することがあり、被害は取引先にもおよぶ。他に、架空販売や架空仕入、過大請求などによる業務上横領または裏金作りの協力を要請されることもある。不正の発覚によって法的罰則を受けるばかりか、出入り禁止になるなど、取引先と信用を失い、死活問題に発展するおそれがある。

④経営悪化会社

 元々は健全な経営で、提供する商品・サービスにも問題はなく、支払い振りも良好であったが、売上・利益の減少など業績不振が続き、経営が悪化。商品・サービスの品質も低下し、資金繰りの悪化から支払い遅延を起こしている会社をいう。今後、倒産に発展し、損害の拡大および確定が予想される。従来の信用リスクや「危ない会社の見分け方」などの研究は、ほとんどが経営悪化会社に注目している。

⑤悪徳・詐欺会社

 健全な企業の法令違反や契約不履行、権利侵害は、法令や契約に対する認識不足または対応の拙さなどの過失によって起こるものであるが、悪徳商法や詐欺会社は、初めから法令違反および契約不履行、権利侵害を認識したうえで、意図的にかつ計画的に行なわれる。公開される企業情報はでたらめで、決算書は粉飾されていることが多いため、取引先がしっかりした与信管理をしないと、大きな損害を受ける可能性が高い。

⑥反社会的勢力

 反社会的勢力とは、暴力団や暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団、それらとの関係の深い企業をさす。反社会的勢力と取引上のトラブルや行き違いがあった場合、交渉の精神的負担が重いばかりか、強制的に経済的負担を強いられることもある。深い関係でなくても取引があると判明しただけで、自社の信用度を落とし、取引先の喪失など死活問題に発展するおそれもある。

2018/3/13  高市幸男

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