意見・異見

 

予算と実績の差額計算における疑問

 

予算と実績の差額を計算するケースとしては、

   ①「今期予算」が「前年実績」に対していくら増減したかを示す場合

 ②「前年実績」が「前年予算」に対していくら増減したかを示す場合

の2つがある。計算式としては「実績-予算」「予算-実績」の2つが考えられるが、その考え方としては、一般的な常識が3つある。

第一、計算結果は、増加の場合は+(プラス)、減少の場合は-(マイナス)であるべきである。

第二、「引かれる数」と「引く数」を説明の関係でいうなら、主語となり説明されるのが「引かれる数」である。

第三、主語となり、説明される数は、時系列的に新しい方である。(過去を説明する場合もあるが、それはレアケースでしかない)

   (古)→  →  → (新)

   前年予算→前年実績→今期予算

   今期予算は前年実績との差額で説明できるが、前年実績を今期予算との差額で説明することはできない。前年実績は前年予算との差額で説 

   明できるが、前年予算を前期実績との差額で説明できない。

 以上の3つの常識から2つのケースを考えて見る。

①の場合、主語となり説明される数は「今期の予算」、時系列的に新しいのは「今期の予算」であることから、「今期の予算」が「引かれる数」となる。よって計算式は「今期予算-前年実績」となる。今期の予算を前年実績より増やしていれば、差額は+(プラス)、減らしていれば-(マイナス)となり、「増加は+、減少は-」の常識にも合致している。

 

②の場合、主語となり説明される数は「前年実績」、時系列的に新しいのは「前年実績」であることから、「前年実績」が「引かれる数」となる。よって計算式は「前年実績-前年予算」となる。前年実績が前年予算より増加したのなら+(プラス)、減少したのなら-(マイナス)となり、「増加は+、減少は-」の常識にも合致している。

  しかし、会計や学会では、如何なる場合も「予算-実績」というルールがあるとの事である。つまり②の前年実績を前年予算で評価する場合も、「予算-実績」で計算するというのである。

第一の常識で検証する。実績が予算より増加すると-(マイナス)、実績が予算より減少すると+(プラス)となり、会計・学会ルールが間違っている。

第二の常識で検証する。主語となり説明される数は「前年実績」であるから、「前年実績」が「引かれる数」になるべきである。よって会計・学会ルールが間違っている。

第三の常識で検証する。「前年実績」と「前年予算」で時系列的に新しいのは「前年実績」であるから、「引かれる数」は「前年実績」となり、会計・学会ルールが間違っている。

予算と実績を比較する場合、2つのケースによって計算式を使い分けるのが面倒なことから、いずれの場合も「予算-実績」で統一したというのが会計・学会ルールらしい。

しかし、これこそ計算の目的と意味を無視した、一般的常識を考慮しない傲慢な考え方である、と言わざるを得ない。

2018/6/15 高市幸男

 

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